こんにちは。沖縄県在住の映画&音楽ライター石川尚彦です。ryukyuでは、沖縄県を題材にした、本や映画を紹介しています。
6月も過ぎると、2020年も早くも後半戦。今年はイレギュラーなことが多く、あっという間に季節が過ぎ去った気がします。年の初めに立てた目標や夢は叶っていますでしょうか?
本日は、年の初めを思い出す絵本をご紹介します。
ひしょうがつ
以前にも違う絵本を紹介したことがある儀間比呂志さん。儀間さんが1983年に発表した『ひしょうがつ』は、貧しいものだけが年を越え、良い正月を迎えることができるという内容の絵本です。
主人公の貧しい老夫婦が、出会う人たちを暖かく向かい入れて、心のこもったおもてなしをしていきます。そうして過ごしていると、思わぬ幸せが訪れ、良い正月を過ごすことができる。そんなお話しです。
寒い最中でも人の心の温もりや人間的なふれあいを通して、人と人の助け合いが描かれています。
この『ひしょうがつ』では、寒い季節、人は逆に温かさをもって人と接しなければならないと、丹念にわかりやすい物語を通して、助け合いの精神を学べることができます。現代にとって、人との関わり方を省みるヒントになる絵本だと思いました。
ご両親はお子さまとの関係を。逆に、子ども自身も両親と関わりや愛情を考えるきっかけになるとでしょう。そう考えると、少し、年齢が高いお子さま向けの絵本かもしれませんね。
作者である儀間比呂志さんは、他の絵本を通しても「寛容さ」を常に描かれています。その中でも『ひしょうがつ』はとくに際立って寛容な人を物語の主軸に添え描いています。老若男女に読んでほしい、忘れられた名作と言えるでしょう。
ひしょうがつは漢字で火正月と書きます。古くから伝わる沖縄の昔ばなし、その昔ばなしをアレンジしたのが『ひしょうがつ』です。
少し季節外れの絵本かもしれませんが、2020年も折り返しの今。ぜひ再読してみてください。
ひしょうがつ(ひかりのくに株式会社)
著/儀間比呂志