こんにちは。沖縄県在住の映画&音楽ライター石川尚彦です。ryukyuでは、沖縄県を題材にした、本や映画を紹介しています。
急に寒くなったり、寒くなったかと思えば半袖の気温になったり、季節の情緒がない沖縄の冬。風が強い日は、沖縄の土地でも「こたつに潜り込んで丸くなりたいな〜」な気分になる今日この頃です。公園の猫たちがお餅みたいに丸くなっているのを見かけると、ムーチーを食べたくなるのは僕だけでしょうか?笑
今回僕が紹介するのは、冬の沖縄にピッタリな絵本。ぜひ冬休みに家族で読んでみてくださいね。
おにムーチー
絵本のタイトルは『おにムーチー』。
ムーチーという言葉は、沖縄のお餅のこと。それを沖縄の方言では「ムーチー」と呼びます。月桃の葉(方言では「カーサ」)で巻くことから、カーサムーチーとも呼ばれていますよ。この絵本を読んでいると、自然とムーチーに手を伸ばしたくなるので、改めて「沖縄人だな〜」と自分のことを振り返ったりも。笑
『おにムーチー』は民話を元にした物語。首里金城町付近に住む兄妹が主な登場人物で、働き者の妹と怠け者の兄。兄の怠け癖は度を超して、家畜や人間の子どもまで食べるようになり、いつのまにか恐ろしい鬼になってしまいました。働き者の妹はすでに子どもがいたので、自分の子どもを兄に食べられるのを恐れ、鬼退治を考えて…。
というのが、絵本のあらすじ。
兄をおびき寄せるために、大好物のムーチーを作って鬼退治(兄退治!?)をしたそう。その退治した日が12月8日であることから、厄払いの日とされているそうです。
ムーチーの意味
現在、ムーチーには健康祈願の思いがこめられているそう。子どもが食べ物に困らないように、家の外にお供えをするムーチーは年の数と言われています。
ぜひ、ムーチーをお子さまと一緒に作って食べてみてください!歴史を学べるいいきっかけになりますし、食育にもつながるのではないでしょうか?一緒につくったムーチーを食べながら、『おにムーチー』の絵本もぜひ読んでみてくださいね♩
ムーチーを食べる期間は旧暦の12月8日(グレゴリオ暦では翌年の1月)。沖縄で最も寒い時期、ムーチービーサー(鬼餅寒)に食べるのが風習になっています。
おにムーチー(沖縄時事出版)
著/蒲田佐多子
絵/大湾宗弘