こんにちは。沖縄県在住の映画&音楽ライター石川尚彦です。沖縄県を題材にした、本や映画を紹介しているこちらのコーナー。
台風11号が発生したか…と予報があった今日この頃。今回は「季節の変わり目」をテーマに沖縄の作品をチョイスしてみました!
梅雨から夏、夏から秋へとゆっくり変化する沖縄。そんな、時が移ろい、季節が変わりゆく時期は天気も崩れがち。そんな時期は、家族で映画と読書はいかがでしょうか?
洗骨
まず、おすすめなのが『洗骨』。かなり話題になった作品なので、沖縄県民はすでに家族みんなでご覧になったご家庭も多いのではないでしょうか?
沖縄の離島、粟国島が舞台の映画。その粟国島の伝統的な風習「洗骨」をテーマにして、島に住む「家族」と「絆」、「死生観」を描いています。
タイトルとテーマは、ちょっと重ための雰囲気が漂っていますが、映画自体はユーモアを交えて、家族みんなで観賞できる作品です。
監督は、沖縄出身のお笑い芸人としてお馴染み、ガレッジセールのゴリ。ゴリが「照屋年之」という本名で監督と脚本を担当しています。『洗骨』のところどころにも、観客を笑わせるネタが仕込まれていて、普段あまり声をだして笑わない僕も、思わず笑ってしまいました。。。やられました。。。
「家族」「絆」「死生観」。テーマに関する考え方は人それぞれですが、人間関係が希薄化した“現代の人のつながり”について、考えさせてくれた映画です。
洗骨
監督・脚本/照屋年之(ガレッジセール ゴリ)
主演/奥田瑛二
→公式サイトこちら「洗骨」
宝島
『洗骨』に続いて紹介するのが、「第160回直木賞」と「第9回山田風太郎賞」の受賞でも話題になり、「第5回沖縄書店大賞」も受賞した、真藤順丈(しんどう じゅんじょう)さんが書かれた『宝島』です。
太平洋戦争直後からコザ暴動までの沖縄を舞台に設定し、若さと青春が持つ“初期衝動”を描いた群像的冒険小説です。
西暦だと、1945年〜1970年。沖縄への入念な取材と、緻密な構成で一気に読ませる小説でした!!
当時の沖縄の政治、経済、社会問題などが縦横に描かれながら、エンターテイメントに落とし込んでいて、546ページという分厚さの本ですがその厚さはまったく気になりません。枕になりそうなくらいな分厚さですが、逆に足りないくらい。
現在の沖縄に繋がる問題も描かれてあり、エンタメ小説だけで終わらない作りでもあります。
著者の真藤順丈さんのデビューは、2008年。サスペンス、ホラー、SFなど幅広いジャンルの小説を手掛けている小説家です。僕自身が結構好きなせいか、今回の『宝島』がこれまでの作品の集大成のように感じました。ぜひ他の作品も読んでみてほしいです。
宝島
著/真藤順丈
→amazonでの購入はこちら「宝島」
溜まった家事の息抜きの合間に、一気に読めるエンタメ系の小説です!
蒸し暑い真夏の天候は、『宝島』の世界観に妙にフィットしています。お部屋に籠って読むのも最適かもしれません。
日々の子育てに忙しい方も多いでしょうけれど、是非とも観てほしい映画と小説のご紹介でした!もちろん、老若男女問わずオススメです。